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ガチ恋日記過去編

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月に1~2度、飲んだり遊んだりしているメンバーで飲みに行った。

市場の中にあるワインとてんぷらの店。

市場といっても、なんとかマルシェ的なおしゃ系市場ではなくガチ市場ね。魚とか野菜とかを売ってる市場の隅に、ビニールのカーテン仕切りの中でパイプ椅子が並べてあるお店。

ワインと市場、てんぷらとワイン、という一見不思議な組み合わせにくわえて、注文を聞きに来たりお料理を運んでくれたりするお兄さんが(ウエイターさんというには抵抗があるシチュエーションゆえ)、ラグビーをやっていたという自慢の上腕二頭筋をお持ちの外国の方で(あまりにも立派なマッスルだったのでどうやって鍛えているのかつい聞いてしまった)、いろいろ不思議な空間であった。なお、お料理は大変美味しくお値段も大変良心的だったので、また行くことにしました。

 

不思議な空間だったからか、いつもと違う方向の話で盛り上がった。

今のだんなさんと知り合ったときの話とか、中学のとき好きだった先輩の家の前を通るといまでも緊張する話とか、初めてつきあった彼氏に振られた話とか。つまり、過去の恋愛のハナシ。

 

*****

 

私にも忘れられない思い出がある。

一応、現在の私は結婚16年目、山も谷もあるし先のことはわからないけど、少なくとも今現在はそれなりに平穏な毎日。

彼を思い出すとき、今も変わらずいい男で、幸せでいてくれたらいいなと思う程度には、今の私は健やかに、幸せに生きているとは思う。

 

今から20数年前。

彼とは、私が一方的に好きになって、強引に知り合いになって、色々奇跡がおきてつきあえることになった。

一方的に好きになって強引に知り合いになるくらいだから、当時の私はその彼のことが大好きで大好きでたまらなかった。

彼は良くも悪くもまっすぐで、気持ちをストレートに表に出す人だった。(と思う。昔すぎるうえに思い出補正がかかっている可能性大。)

一方私は、大好きなその彼に対して全く素直じゃないどころか、今思い出しても信じられないくらいに自己中を発揮しまくっていた。どうしてなのか、我ながら未だにわからない理解できない。誰か教えて欲しい。

結局、私は自己中で嫌な女を発揮しまくり、ストレートに伝えられない大好きは一周回って嫌いに変わり、あっという間にふられてしまった。

別れを言い渡されたあと、しつこく追いすがる私に、もう電話してくんなとさえ言われたような気がする。それも何度か。悲しすぎて悔しすぎたため、記憶から抹殺したのでおぼろげな記憶だけど。かっこわる、わたし。

私の自己中発揮っぷりは、20年以上経った今思い出しても恥ずかしくなるくらいにひどかったから、彼にとって、こいつとはやっていけないと思ったポイントはいくつもあったのだろうと今になって思うのだけど、直接的に別れの決定打となったのは、ある夜の喧嘩だったと思う。喧嘩といっても、いつものとおり私が一方的に自己中心的振る舞いをしていただけで、今思うと相手はほとんど一ミリも悪くない気がしている。

私はその夜のことを、その後何ヶ月も、何年も後悔した。あのときあんなことを言わなければ、今も一緒にいられたかもしれないのにと何度も思った。そして、あれが初めての恋愛じゃなかったら、もっとうまくやれたのに、もっと素直になれたのに、とも思った。ずっとそう思っていた。

 

ミハルちゃんが、「じゃあ、実際2回めの恋愛はうまくいったの?」と聞いた。

はっとした。もちろん、いってない。

その後、何度かの失敗を経験し、歳を重ねて価値観も変わり、いろいろな人と出会って世の中を知り、少なくとも二十歳の私よりはずっと成長してから知り合った今の夫と結婚した。なお、多少マシにはなってるとはいえ、私は44際になった今でもやっぱり自己中を発揮して、夫に迷惑をかけていつも怒られてばかりいる。つまり、自己中なのは私の性格であって、初めての恋愛とかは関係ない。

 

「だったらやっぱりその彼とは結局うまくいかなかったんじゃん」とミハルちゃんが言った。

2回めの恋愛だったとしてもうまくいかなかったってことは、4回目くらいじゃないといけなかったらしい。

そうか。そうだったのか。

4回目くらいになったら、もう多分、私は彼とつきあった当時の私じゃない。そうなると、もはや今度は私自身が彼を好きになったかどうかもわからない。
ミハルちゃんが言うには、私が話す内容から想像されるその彼は、今の私とうまくいきそうにもないらしい。もちろんそれは想像の彼だし、そもそも私が知っているのは十九歳の彼をほんの一瞬切り取った部分だけで、今はもうまったく知らない男性なんだろうけども。

つまり、結局、初めての恋愛だからうまくいかなかったとか、私が子供だったからとかではなく、単にそういう相性で、そういう運命だったのだということらしい。

 

なるほど。

 

なるほどなるほど。ある意味納得。

ていうか、知ってたんだけど。

なんとなく知ってたんだけど、なんというか、時折思い出すたび、悔やんでも悔みきれない失敗として痛い思いで振り返っていた二十歳の出来事に、ま、仕方なかったんだよそれもアリ、と「済」のスタンプをおせた市場での夜でした。