「項羽と劉邦」
「項羽と劉邦」を読んでいる。
春以降、仕事があまりに忙しく現実が過酷すぎるので、逃避が必要になったタイミングで、面白いよねとレビューしている本がいつも私の好みと一致している知り合いが、たまたまSNSにアップしていたのを見かけて、昔大好きだった人がこの本を読んでいたのを思い出したりしたので、逃避用にAmazonから取り寄せた。
昔大好きだった人が読んでいたときには、当時大学生の私は歴史にも歴史小説にもまったく興味もなく、世の中に本はたくさんあるのになんでわざわざその本を読んでいるのかと彼に聞いた記憶がある。なんて答えが返ってきたのかはまったく覚えてないけども。
はたして「項羽と劉邦」、非常に面白い。
人心と世の構造が歴史の事実としてたいへんわかりやすく描かれていて、面白いっていうか勉強になる。
読んでいてついうっかり、今自分がいる社会構造や組織の中での構図に置き換えてなるほどと考えてしまったりして、現実逃避になっているのか、むしろ違う現実と向き合うことになっているのかわからないが、とにかく面白いので夢中になって読んでいる。先日長い長い特急電車に乗って実家に帰省したときにも、この旅のお供のおかげであっという間に時間が過ぎた。
けど、学生時代の私がこの本を読んでも、きっと今のように面白くなっただろうという確信がある。脳の構造は変わってないからもちろん理解はできただろうけど、面白いとは思わなかったに違いない。
この本に限らず、この歳になって面白いと思えるようになった本や、この歳になってから理解できる芸術はたくさんある。
なんでもっと早くこの魅力にきづかなかったかと、若い感性で出会っていたらもっと違う世界が開けていたかもしれないのにと思う一方で、歳を重ねたからこそ理解できる世界があることを知って、歳をとることって結構良いこともあると気づいた気がする今日このごろ。