ひとりオフィスはじめました

後悔なく生きることが目標です

冷房30度

20代のある夏の一時期仕事していたオフィスにすばらしい先輩社員がいらした。

私はプロジェクトごとに客先に常駐するのが基本のSEで、そのときはなんかたまたま短期の本社勤務でたまたま営業と同じフロアだったんだけど、総務担当のその先輩は、全員の戻り時間をチェックして、冷房の温度をこまごまと調整していた。

営業マンが外回りから帰ってきたときに暑くないように、帰ってくる人がいる時間帯は温度を下げて冷やすのだ。もちろん温度を下げるときには、ごめんねちょっと下げるねと周囲に断りをいれてくれた。細かくは忘れたけど他にもいろいろ細やかだった。

仕事以外ではどちらかというとザツ(失礼)な感じのざっくばらんなお姉さんだったから、その細やかな仕事ぶりとの差分に、いまでいうギャップ萌的に、ひそかにかっこいいなぁと思っていたものだ。Tさん、元気かなぁ。

 

さて、現在の私はシェアオフィスで仕事している。小さく区切られたスペースで、エアコンの制御はお隣さんと共有だ。

 

一般的には、ビルのエアコンが暖房から冷房に切り替わるのって5月くらいな気がするんだけど、今年は3月下旬に異常に暑い日があったからか、4月になって早々に冷房に切り替わった。いくらなんでも冷房はないだろうと思ってオフにしてあるのだけれども、ここ数日、夜の8時をすぎると急に冷え冷えとしてくる。

ここ数日は昼間も異常に寒かったし、そもそも部屋が大通りに面していて窓が大きいから昼間は明るくていいんだけど、北向きなので陽が当たらないせいと、大きな窓で寒気が入り込むのかしらとか考えながら、ひざ掛けぐるぐる巻きでぶるぶる震えつつ仕事していた。

 

今日も9時前になって異常に寒いのであきらめて撤退することにした。

帰り際、出口で何気なくエアコンの制御盤を見たら、ななななんと。

 

冷房30度

 

になってる…

 

れ、れいぼう、さんじゅうど。

 

思考が停止する破壊力のある文字ヅラだった。

 

まずはじめに言いたいのは、その時間帯、外気温は11度とかである。10度あるかもあやしいくらいだ。

以前、真冬の東京の満員電車でみんな厚着してるから車両は冷房入ってる矛盾を謎の怒りとともに訴えていた元同僚を思い出した。

 

外気温11度に対して、冷房30度。

 

いや、外気温が何度だったとしても、冷房30度って。

どこまでいっても矛盾しかないやん。意味不明やん。カオスやん。

 

心の中で矛盾だらけの冷房30度に突っ込みを入れたあと、はたとおもった。

 

まあ、どう考えてもお隣さんが設定したわけなのだが。

確かにお隣さんは、私のオフィスと同じサイズの部屋におじさんが複数人いるようで、いつも暑いらしくドアを開放している。きっと暑いのでたまらず冷房にするんだけど、隣の私が流石に寒いだろうと(ドアが一部ガラス張りなので電気がついて人がいるのがわかる)、せめて30度に設定してくれているのだろうと推察される。

 

いやまて。心遣いなのだ、これは。

 

うーむ。

 

矛盾。

そして、心遣い。

 

あかん。考えれば考えるほど、じわじわくる

 

制御盤の冷房30度の文字があまりにもいろいろなことを語りかけてきたので、ニヤリとしてしまった夜が更ける。